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ターリヒ弦楽四重奏団

弦楽四重奏のためのディヴェルティメント 

通称『ザルツブルグ・シンフォニー』

K. 136-138

ディヴェルティメントとは何だろう ?

イタリアで生まれた、自由な構成で作曲された楽曲のことである。

はじめは式典や祝祭などさまざまな機会に、屋外または屋内で演奏され、多くの場

合、そのときどきの注文に応えたバックミュージックだった。各楽章は優雅さを備

えた慣習を保つようにできており、ヴァイオリンが主旋律を演奏していた。このジ

ャンルは、

19

世紀後半には軽蔑されるようになった。というのは、ロマン主義時代

の音楽家は、苦労して経済的自立を得たことで、〔注文に応じることによって〕「簡

単に手に入る」収入に対してコンプレックスを持つようになっていたからだ。ワグ

ナーなどは、この種の音楽は「皿がガチャガチャと鳴るような」ものだとまで言い

放っている。

モーツァルトは『ディヴェルティメント』と呼ばれる作品を非常に多く作曲して

いる。その数は全部で

30

以上におよぶ。その大部分はザルツブルグ時代のもの

で、

1772

年まで作曲していたようだ。モーツァルト自身が作成した作品カタログで

は、「ディヴェルティメント」は「カッサシオン」や「セレナーデ」と混同して使

用されており、彼自身、この語に明確な定義を与えていない。しかし彼の頭の中で

は、これは根本的に室内楽曲であった。ただ、「シンフォニア」や「ディヴェルテ

ィメント四重奏曲」などという総称でも知られている。