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ターリヒ弦楽四重奏団

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1

楽章「アレグロ」は快活な行進曲のリズムで始まる。行進曲はそのあとに次々

と連なる楽想によって消されるが、これらの楽想は行進曲が戻ってくるのをうまく

遠ざけている。

次の「ロマンツェ」のテーマは、オペラ『後宮からの誘拐』第

2

幕のベルモンテの

有名なアリア「喜びの涙が流れる時」からとられている。童謡のようなメロディは

昔の歌のごとく展開されていくが、情熱的な問いかけや、子守唄の記憶なども聞こ

える。

「メヌエット」(アレグレット)は、純粋なバロックの伝統的ダンスにインスピレ

ーションを受けている。たくましく男性的な最初のテーマで踊りが開始する。洗練

されたフレージングの第

2

テーマには熟慮する時間があり、女性的。中央のトリオ

は、民謡的メロディで聴く人を楽しませる。曲の調子は慇懃である。お互いに繰り

広げられる誘惑術は繊細で、第

1

テーマが戻ってくる時にはさらに控えめになって

いる。

フィナーレの「ロンド」(アレグロ)は、魅惑的な熱であり、一種の常道曲である

が、第

2

テーマは故意にぎこちない。それは、人間の複雑な感情を、ヴァトーの描

く音のない『艶なる宴』を、音楽に置き換えるかのようである。