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ターリヒ弦楽四重奏団

ズデネック・フィビヒが『弦楽四重奏曲第

1

番イ長調』を作曲したのは若干

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のときであった。当時彼はリトアニアのヴィリニュスで合唱指揮者の職につい

ていた。弦楽四重奏というジャンルの作曲には高い資質が要求されるが、フィ

ビヒはこの最初の試みに間違いなく成功している。

彼は、弦楽四重奏の原則に厳格に沿いながらも、チェコのダンス「スーセツ

カ」を中心に様々なコンビネーションを試みている。第

1

楽章(アレグロ・グラ

ツィオーソ)の和声は、どの調かを決めかねるかのように揺れ動いている。テ

ーマにある控えめなリリスムは、ごく自然に展開してゆき、フィビヒがメロデ

ィに長け、何百曲もの合唱曲や歌曲を書いていることをよく表している。

2

楽章(アンダンテ・センプリーチェ)は、子守唄の雰囲気の中に展開して

いく。

次のアレグレット楽章は、農民的というよりも貴族的なポルカで始まり、チェ

コのバグパイプ「ドゥディ」を模倣した音色がこれを彩っている。このポルカ

は、チェコの室内楽作品の歴史で最初にダンスを使用したと確認されている例

であろう。

最後の「アレグロ」では、

4

つのパートは、まるで技巧を駆使して終曲のコラ

ールを演奏するアカペラ

4

声合唱のように扱われており、作曲家が合唱指揮者

としての教育を受けたことがよくわかる。