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アルカンのもついろいろな面を、雑多な形で見せたい

と思いました。『大ソナタ 四つの年代』はその規模

の大きさと巨大形式において、ロマン派ソナタの理想

として、リストの『ソナタ』におそらく影響を与えた

と思います。

この大作の逆の面として、『エスキス〔素描〕』を選

びました。ここでアルカンは、瞬間をつかむことがで

きることも見せています。それから、当時の風潮に根

を張っていると同時に、大変な先見性もみられる作品

も数曲選びました。『舟歌』はメンデルスゾーン的で

あると同時にサティを予告しています。『ため息』に

はスクリャービンや、さらにはドビュッシーも感じら

れます。『夜想曲』はショパンの作品32に近い曲です

が、『鐘』や『前奏曲』、『海辺の愚女の歌』などは、

アルカンがどれだけ現実的なもの、普通のもの、奇妙

なもの、尋常ではないものに魅了されていたかが読み

取れる作品となっています。