

ゲーリー・ホフマン
ダヴィッド・セリグ
45
A.C.
ふたつのソナタは大変に対照的ですが、二曲間の変化について
どう思われますか。
D.S.
表現という観点で見るならば、二曲の間には確かに違いがありますが、一
曲の音楽的価値がもう一曲よりもずっと勝っているとは思いません。見事に書かれ
ている
1
番のソナタは、開放的な
2
番よりも親密な性格を備えており、対照的なも
のとなっています。
G.H.
1
番にはシューベルト的な要素が多く含まれています。
2
番はより「がっちり
と」、オーケストラ的になっています。演奏者は最初の小節から完全に曲に入りこま
ないと弾けません。また、この曲には、ピアノソロのアルペジオ和音のコラールによ
る長い序奏をもった、素晴らしいアダージオ楽章があります。この楽章は、形式的
な考察を離れたところで、幅広くモダンなメンデルスゾーンの詩的なビジョンがよく
表れています。
A. C .
第
2
番のソナタには、あなたが弾いている楽器と深い関係が
あるとうかがっていますが…
G.H
.
メンデルスゾーンは、このソナタを、ロシアの貴族でチェロの腕もよかったら
し いマテ ウ ス ・ ウ ィ ルホルス キ伯爵に献呈 し てい ます 。 伯爵はま た 、 シ ュー
マ ン の友人 で も あ り ま し た 。 私は現在 、 幸せに も 、
1 6 6 2
年製の ア マ テ ィ を
弾いていますが、 この楽器はウィルホルスキ伯爵の所有だったのです。伯爵
は他の楽器も持っていま したが 、私のチェ ロからかつてこのソナタが奏でら
れた と い う こ と は十分想像で き ます 。 いずれにせ よ 、 こ のチ ェ ロ で第
2
番の
ソナタを演奏するととてもよく鳴るんです。