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47 ミシェル・ポルタル | ミシェル・ダルベルト シューマンに話題を移しましょう。《幻想小曲集op.73》のドイツ語原 題“Phantasiestücke”は、ファンタジーとイマジネーションを示唆しています。今回ポル タル氏は、どのようなサウンドを追求なさったのですか? ミシェル・ポルタル : op.73では、まさしく「開かれた」サウンドが求められています。豊満で広 々としたサウンド、狭苦しさとは無縁のサウンドです。シューマンは、新たな空間と出会う旅へ と私たちをいざなっています……。 シューマンとブラームスの書法の根本的な違いは何でしょうか? ミシェル・ダルベルト : 二人の音楽的アプローチは、内容・形式の両面において対照的です。 シューマンの作品に取り組むとき、内容、すなわち作品がはらむ意味を検討することは避け られません。彼の音楽形式は、内容を理解できたときに初めて明瞭になるのです。いっぽうブ ラームスの作品では、形式や構造が——まるで自明の理のように——何にもまして重要な 地位を占めています。彼の形式や構造は古典派の影響下にあり、それゆえに厳密です。彼が 古楽やバッハの作品に夢中になったのは偶然ではありません。

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