LDV96

48 ベルク | ブラームス | プーランク | シューマン 《幻想小曲集》とは対照的に、《三つのロマンスop.94》では「Nicht schnel(l速くなく)」 との演奏指示が幾度か現れ、奏者に平穏や抑制を求めます。 ミシェル・ダルベルト : 確かに今回、《幻想小曲集》よりも《ロマンス》の録音のほうが一筋縄 ではいかない印象を受けました。私たちはシューマンの晩年の作品である《ロマンス》におい て、しかるべきフレージングを見出そうと模索しました。おそらくシューマン自身が、苦心して《 ロマンス》を書いたのでしょう……。 どういうことでしょうか? ミシェル・ダルベルト : 《ロマンス》以前にシューマンが書いたすべての作品——すなわち若 かりし頃の作品——は、爆発する創造力に導かれて、彼の筆から自ずと溢れ出た音楽といえ ます。それは、《ダヴィッド同盟舞曲集op.6》にも《幻想小曲集op.12》にも《フモレスケop.20 》にも当てはまります。最晩年にピアノ音楽に回帰したシューマンは、曲を書くことの極度の難 しさに直面することになります——リートの世界を発見して尽きせぬエネルギーをかき立て られた中期とは、打って変わって! この点にかんして、再びブラームスを引き合いに出してお きましょう。私が思うに、彼のop.1からop.120までの作品も、書法の確たる変化を私たちに 聞かせます。

RkJQdWJsaXNoZXIy OTAwOTQx