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45 ミシェル・ポルタル | ミシェル・ダルベルト ベルクのop.5の“源泉”の一つとしてブラームスの話題が出たところで、彼の《クラリネット・ ソナタ第2番》について伺います。この曲にかんしては、ブラームス自身が旋律楽器として二 つの選択肢——クラリネットとヴィオラ——を差し出しています…… ミシェル・ダルベルト : 私自身、ヴィオラ版の演奏経験があります。ブラームスは、楽譜上で も自身の頭の中でも、クラリネットとヴィオラをまったく区別していません。ただし二つの版に は、ヴィオラの力強い表現力や音色に起因する若干の相違がみられます。 意外に思う方もいるかもしれませんが、実はヴィオラは、かなり大きな音量を出 せる楽器です。また、クラリネットとヴィオラでは、奏でることができるフレーズの 長さも、まったく異なります——フレーズの長さが変わるだけで、音楽は一変し ます。私は、ヴィオラ版をユーリ・バシュメットと演奏したさいに、それまで自分が 聞いていたのとはまったく違う音楽だと感じたことをよく覚えています。

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