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44 ベルク | ブラームス | プーランク | シューマン アルバン・ベルクが師のアルノルト・シェーンベルクに献呈した《四つの小品op.5》の作風 は、後期ロマン主義的であり、すでに表現主義的でもあります。4曲の語法は、ブラームスの 音楽が体現するロマン主義からの断絶を示しているのでしょうか? それとも両者は繋が っているのでしょうか? ミシェル・ポルタル : 私は長年、《室内協奏曲》をはじめとするベルクの楽曲を演奏してきま した。細密画のような小品から成るop.5のうち、より鮮明にナラティヴ(物語的)な性格を湛 えているのは終曲だけです。 ミシェル・ダルベルト : ベルクの楽曲は、確実にドイツ・ロマン主義音楽の延長線上にありま す。挑発的な発言になることを承知で申し上げれば、彼の《ピアノ・ソナタop.1》と同様、op.5 も、ブラームスの音楽に直結しています——よりいっそう多くの“調子はずれな音”が聞こえて きますがね(笑) op.5のアフォリズム(警句)的な性格は、私が以前に弾いたシェーンベル クの《三つのピアノ曲op.11》と《六つのピアノ小品op.19》を想い起こさせます。また、ベルク 自身の有名な《ヴァイオリン、ピアノ、13の管楽器のための室内協奏曲》やリートも彷彿させ ます。 私が新ウィーン楽派の音楽に興味を抱くようになったのは、80年代の終わりから90年代の 始めにかけてです。その詩情と想像力に富んだ音世界が、私の心を強く揺さぶります。私は、 当時すでにパリ国立高等音楽院で学んでいたマーラーの交響曲や歌曲をとおして、新ウィー ン楽派の作品に近づきました。当時のコンサートで聞いたアレクサンダー・フォン・ツェムリン スキーの《抒情組曲》のような作品も、新ウィーン楽派に目を向ける助けとなりました。ちなみ に私が《抒情組曲》を聞いて影響を受けたコンサートで、私自身はミヒャエル・ギーレンの指 揮で協奏曲を弾きました。

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