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43 ミシェル・ポルタル | ミシェル・ダルベルト 《クラリネット・ソナタ》は、いわば作曲家プーランクの音楽的な遺言であると思います。彼は 最晩年に、自身の重い病と向き合いながら、この曲を書きました。それは、最晩年に名手の演 奏に触れてクラリネットを発見・再発見したモーツァルトやブラームスのアプローチとは異な ります。アントン・シュタードラーとリヒャルト・ミュールフェルトが、モーツァルトとブラームス のクラリネット作品に霊感を与えましたが、プーランクの場合は、彼らのような名手を念頭に 置いていたわけではありません。 ヒストリカル・クラリネットの演奏経験をお持ちのポルタル氏に伺います。本盤に収められ た各曲にとって、楽器の選択は重要な意味を持ちうるのでしょうか? ミシェル・ポルタル : 私がヒストリカル・クラリネットを演奏するのは、その経験から多くを学 ぶことができるからです。とはいえ私は、たとえばモーツァルトの音楽ではモダン・クラリネッ トを用います。輝かしいサウンドが求められるレパートリーですからね。本盤のレコーディング では2本のクラリネットを使い分けました——B♭管かA管かを選べることは必須条件です。

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