Background Image
Previous Page  33 / 40 Next Page
Information
Show Menu
Previous Page 33 / 40 Next Page
Page Background

ターリヒ弦楽四重奏団

33

多作な作曲家

彼の作品は非常に多様で、作品目録には、あらゆる作曲形態による

244

曲が記載さ

れている。その中には弦楽四重奏曲

3

曲、交響曲7曲、多数の序曲、さらに協奏的作

品、室内楽曲、宗教曲などがある。ピアノのための小品や歌曲も多く、

19

世紀のサ

ロン音楽の様式が見事に反映されている。

当時、弦楽四重奏曲は多くの聴衆の前で演奏されるためのものではなく、小さなサ

ークルのためのサロン音楽にとどまっていた。この形式の扱い方としてふたつの方

法がある。一つは俗にいう「古典的」な弦楽四重奏で、もうひとつは、第1ヴァイ

オリンを全面に押し出した「ブリリアント」な弦楽四重奏である。

1831

年、ライプツィヒのペータース出版社から「第1ヴァイオリンを協奏曲的に扱

うのではなく、各楽器の声部を調和よく配分した、モーツァルト様式の優美な」

3

曲の弦楽四重奏曲の注文があった。

結局作曲が終わったのは3年後であった。