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ターリヒ弦楽四重奏団

ターリヒ弦楽四重奏団は

50

年に亘ってチェコの著名な音

楽家の系譜の中で発展してきた。

「ターリヒ」

という名を聞くと、スメタナやプラハの人々の心のふるさと

であるモルダウ川の川辺が想い起こされる。弦楽四重奏団の創設者、ヤ

ン・ターリヒは、プラハに本拠を置くチェコ・フィルハーモニー管弦楽

団の首席指揮者を

1919

年から

39

年にかけて務めたヴァーツラフ・ターリヒ

の甥だった。ヴァーツラフがこのオーケストラを最高峰にのしあげるの

だが、彼がじっくりと育てた果実は、その後、カレル・アンチェルが見

事に収穫するのである。

1997

年、ターリヒ家で最も若いヤン・ターリヒジュニアが、有能な音楽家を集めた

弦楽四重奏団を父から受け継いで以来、四重奏団の未来は彼らの双肩にかかること

になる。そしてその未来は、伝統を無視しては開けないものなのだ。

新メンバーは、かつてのメンバーが

50

年という時間をかけて世に知らしめてき

た独自の様式、アプローチ、音楽哲学を引き継ぎ、より豊かな実を実らせ続け

ている。彼らは、軽快なトーンと同時に演奏の濃さを、自然な表現と同時に音

楽体験に満ちた深い表現を、思いもかけないアクセントや伝統に根ざした抑

揚を、そして、先輩たちの演奏の特徴であり、何世代にも渡って伝えられてきた

文化に育まれた、生まれつきとも言える大衆音楽へのセンスを、大切に守り続

けているのである。

www.talichquartet.com