LDV154

ジョフロワ・クトー 39 作品の構造についてはいかがですか? 《ゴルトベルク》は一つの円環を描く長大な作品 であり、全体を俯瞰する視野が求められます…… まずはリピートを行うか否かを決めなくてはなりません。その決定が、作品全体の長さを少 なからず左右します。今回の録音ではリピートを行うことにしました。私は演奏会では、リピー トが是が非でも必須であるとは思いません。とはいえリピートは、バッハが思い描いた作 品の規模にかかわる要素の一つではあると思います。さらに私は、《ゴルトベルク》の演奏の 筋道を立てる上で、いくつかの道標を置くことが重要だと考えました。たとえば、フランス風 序曲[第16変奏]は大きな転換点の一つですし、第25変奏は、この作品全体の感情的な 山場を形づくります。ことに第25変奏は、それぞれが表情豊かな3つの短調の変奏の中で、 とりわけ充実した展開をみせます。また、一つ前の変奏から(一息置かずに)続けて弾く方 がよい変奏もあれば、独立させた方がよい変奏もあります。最後には、冒頭の〈アリア〉が帰 ってきます——これは、先行する全ての変奏を糧とする新しい〈アリア〉と言えます。だから こそ私は、各変奏が次に続く変奏に及ぼす影響の大きさを把握するため、作品全体を通し で演奏する練習を重ねました。それによって、バッハがいかに綿密に作品の構想を練ったの か思い知らされ、その点を決してないがしろにしてはならないと肝に銘じました。

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