LDV151

ウィレム・ラチュウミア 41 あなたのプログラミングのもう一つの顕著な特徴として、おそらく「ストーリー・テリング」 の要素が挙げられます。あなたのプログラムは、それぞれが一つの物語のようです。あなた には「ストーリー・テラー(語り手)」の魂が宿っているのでしょうか? どうでしょう……いずれにせよ、それは音楽院を卒業後にコンサート·ピアニストとしての道 を歩み始めてから、つねに私が抱いてきた問題意識です。どのように一つのプログラムを構 築すべきなのか? 単一の音楽世界にとどまるべきなのか、作曲年代順に作品を並べるべ きなのか、あるいは、様式的なコントラストを打ち出すべきなのか? 私自身はその答えを、 「リサイタル(レシタルrécital)」という言葉の語源から導きました。その語源「物語/語り(レ シrécit)」は、何かを物語るという概念に私たちを立ち返らせます。だからこそ私は、そこに 必ずしも具体的な物語がなくとも、楽曲たちを一本の“導きの糸(導きの主題)”によって結び つけようと試みているのです。音楽のダウンロードが主流となりつつある昨今、アルバムを断 片的に聴くスタイルが流行していますが、私自身は今もなお、アルバムが“一つの連続的なも の”として味わわれることを想定して制作しています。肘掛け椅子に身をゆだねて、コニャック か、昔ながらのラム酒が注がれたグラスを手にして……そんな風に、聴き手が時間をかけて じっくりとアルバムを堪能してくださる姿を、私は嬉しく想い描いています。

RkJQdWJsaXNoZXIy OTAwOTQx