Background Image
Previous Page  48 / 52 Next Page
Information
Show Menu
Previous Page 48 / 52 Next Page
Page Background

48 RAVEL / DUTILLEUX / DEBUSSY

テアトロ・シェンティフィコ・ビビエーナ

テアトロ・ビビエーナ(ビビエーナ劇場)は、

1767

年から

1769

年にかけてイタリアのマントヴァ

に建設された。パルマ出身の建築家アントニオ・ガッリ・ビビエーナは、学術会議の開催を

主たる使用目的としながらも、演劇やコンサートの上演も見据えて、この劇場を設計してい

る。パラッツォ・アッカデミーコの一部を成している劇場の内部は鐘型で、複数階に設置さ

れた木製のボックス席から、舞台と

階客席を見下ろすことができる。これは、

17

世紀に考

案され、やがて主流となった劇場設計に基づくデザインである。

“テアトロ・シェンティフィコ”(学術劇場)であるビビエーナ劇場は、

1769

12

3

日に正式に

開館。躍動感と優雅さの均衡を絶妙に保つ洗練された設計によって、

18

世紀後半のヨーロ

ッパで生まれた最重要建築作品の一つとみなされるようになった。

開館から

1

か月余りが過ぎた

1770

1

16

日には、当時14歳だった若かりしヴォルフガング・

アマデウス・モーツァルトが、自身初のイタリア演奏旅行中にマントヴァに滞在し、ビビエー

ナ劇場で父レオポルトと共に演奏を行っている。レオポルトは、妻に宛てた

1770

1

26

付けの手紙に“これまでの人生の中で、これほど美しい劇場を目にしたことは一度も無い”

と記し、劇場を称えた。