Background Image
Previous Page  40 / 76 Next Page
Information
Show Menu
Previous Page 40 / 76 Next Page
Page Background

ルイ・ニーデルメイエールの古典宗教音楽学校で

学んだガブリエル・フォーレは、つとに教会音楽

家――とりわけパリ・マドレーヌ教会のオルガニス

ト――として知られていた。しかし彼は、毎日のよ

うにオルガンを弾いていたにもかかわらず、この楽

器のためには一曲も作品を書いていない。一方、

残された種々の証言によれば、師で友人でもあっ

たサン=サーンスのもとで研鑽を積んだフォーレ

は、傑出したピアニストだった。彼の演奏を特徴づ

けていたのは、深いタッチ、規則正しいテンポ、低

音域の重視、そして音楽外の効果には背を向ける“

音楽至上主義”的な態度であったという。