

34
ドヴォルザーク
弦楽四重奏曲ヘ長調 作品
96
B.179
「アメリカ」
は、産業の大中心地の騒々しさから
はほど遠い、アイオワ州の田舎で生まれた。これを大変な短期間で仕上げたドヴォ
ルザークは、楽譜の最後のページに「なんとありがたいことか、これを書き終えて
満足している。とても速くできた」と書いている。
現地の民族的な影響がいくつか強くみられることは先にみたが、
4
楽章からなる曲
の形式は完全に「古典的」である。彼の多くの作品でもそうであるように、ヴィオ
ラが「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の最初のテーマで幕を開ける。ヴィオラと
いう楽器は、作曲家の声として、最も内奥的な考えを伝えるものとして、チェコの
音楽の中で、特にドヴォルザークの作品の中で、中心的な位置を占めているのであ
る。