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ドヴォルザーク

弦楽四重奏曲ヘ長調 作品

96

B.179

「アメリカ」

は、産業の大中心地の騒々しさから

はほど遠い、アイオワ州の田舎で生まれた。これを大変な短期間で仕上げたドヴォ

ルザークは、楽譜の最後のページに「なんとありがたいことか、これを書き終えて

満足している。とても速くできた」と書いている。

現地の民族的な影響がいくつか強くみられることは先にみたが、

4

楽章からなる曲

の形式は完全に「古典的」である。彼の多くの作品でもそうであるように、ヴィオ

ラが「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の最初のテーマで幕を開ける。ヴィオラと

いう楽器は、作曲家の声として、最も内奥的な考えを伝えるものとして、チェコの

音楽の中で、特にドヴォルザークの作品の中で、中心的な位置を占めているのであ

る。