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31 ヴァネッサ·ワーグナー | ウィレム·ラチュウミア 本盤には、20世紀初頭のフランス音楽が収められています。このレパートリーの音色のパ レットについては、どうお考えですか? その特色を一言で表すとすれば、何でしょうか? ウィレム・ラチュウミア:私の頭に浮かぶのは、「繊細/優美」です。それはフォーレから受け 継がれたものです。 ヴァネッサ・ワーグナー:「流動性」や「玉虫色」という言葉も浮かびます。そのような特色は、 私たちピアニストが弦楽器や管楽器の響きを志向し、時に極端に柔和なニュアンスや、親密 でありながら饒舌な演奏を追求するよう仕向けます。そのため、ピアノの打楽器的な側面を 出来るかぎり遠ざけようとする心理が生まれます。 ウィレム・ラチュウミア:まさにドビュッシーは、ハンマーの存在を忘れさせるような柔らかな 響きを、ピアニストに求めています。それは私から見れば、近代フランスのピアノ音楽へのア プローチの鍵を端的に表しています。

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