LDV120

30 PIANO TWINS ピアノの管弦楽的な側面を更に探求したいという意欲も、お二人の2台ピアノによる“冒 険”を後押ししているのでしょうか? ウィレム・ラチュウミア:オーケストラの多彩な音色を鍵盤から引き出そうとする試みは、私 たちデュオの——そしてピアニスト個人としての——主な関心の的であり続けてきました。 たとえばベートーヴェンのピアノ・ソナタの楽譜を目でなぞると、すぐに私には、弦楽四重奏 や、[オーケストラ・スコアの]管楽パートなどが“見え”ます。単調に聞こえうるピアノという楽 器を、幅広い音色のパレットを用いて、どのように多彩に鳴らすべきか?——この重要な問 いは、デュオの場合であれソロの場合であれ、私とヴァネッサの熱意を掻き立てます。 ヴァネッサ・ワーグナー:そのような“問い”は、私たち二人のさまざまなタッチが——必ず しも似ているとは限りませんが——よく馴染むからこそ、より面白味を帯びます。ウィレムの 実に柔軟なテクニックは、私自身のピアノ奏法へのアプローチと見事に調和します。あまり に調和しているせいで、コンサート中に互いの音色を聞き分けにくいことが多々あるのです が……私たちにとっては、喜ばしいことです。なぜならそれは、私たちが思い描く理想的な2 台ピアノ演奏の在り方だからです。

RkJQdWJsaXNoZXIy OTAwOTQx