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ショパン
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前奏曲集 / ピアノソナタ第二番
この録音はあなたにとってどんな意味があるのでしょう。
ひとつの断絶であり、ひとつの新生です。私はいままで録音をすべて
EMI
で行ってきまし
た。今、レーベルが変わり、レパートリーが変わり、録音エンジニアも変わり…… このよう
な変化によって、一種のルーティンから逃れて、危険に身をさらせるようになります。ショパ
ンを録音するということは、大きな挑戦ですし、それに伴うリスクはよくわかっているつもりで
す。ショパンのレパートリーにはレファレンスとなる演奏が数えきれない程あります。私はこ
れらと自分を比べようとは思いませんし、ショパンという作曲家とは、公正に、全く率直に向
かい合っています。私は今まだ技術的に絶頂期にあり、自分がどの方向に向かっているの
かよくわかっていますし、自分のスタイルがどういうものかがきちんと見えています。
この録音は、自分のスタインウェイピアノで行いました。これで、最良の状態で自分を表現
することができました。
20
年にわたってこの楽器とともに歩んできて、楽器が見せるあらゆる
面をどう引き出していくかを知り尽くしています。