ジョフロワ・クトー 35 本盤は、あなたがブラームスの全曲録音を終えてから初めてリリースするソロ・アルバムで す。完走した全曲録音プロジェクトの延長線上にバッハの音楽があるということでしょう か? ジョフロワ・クトー:その通りです。とりわけバッハの音楽は、私がブラームスの作品を掘り下 げていく上で導きの光となりました。バッハの音楽に頻繁に接することで、彼が大いなる霊 感を授けたドイツ・ロマン派のレパートリーのルーツを理解することができました。しかも私 は以前、メス国立管弦楽団との共演でブラームスのピアノ協奏曲第1番Op.15を収録した アルバムに、バッハのニ短調のシャコンヌのブラームスによる左手用編曲版も収めました。あ のとき私は、ブラームスの全曲録音の先へと目を向けていたのでしょう。もっとも当時の私 は、まだ《ゴルトベルク変奏曲》を弾いていなかったので、次のプロジェクトがどのような形を とるのか知る由もありませんでした。 これまで演奏家として、バッハからどのような影響を受けてきましたか? 多くの音楽家たちがそうであるように、私もまた、バッハから計り知れない影響を与えられてき ました。バッハは、私の人生において中心的な存在であり続けてきた作曲家の一人です。 私は、彼の音楽を幾度となく聴いてきましたし、この作曲家に強迫観念のように取り憑かれ てきたと言っても過言ではありません。とりわけ私は長きにわたり、マレイ・ペライアによる 《イギリス組曲》の演奏録音に魅了されてきました。ある意味それは、私がパリ国立高等音 楽院への進学を決意する上で決定的な役割を果たしました。
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