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エルメス四重奏団 29 『死と乙女』は、いわば交響楽的なスケールによって私たちの心を揺さぶ りますが、『ロザムンデ』は、主として歌心に富んでおり親密な印象を与え ます。 劇付随音楽《ロザムンデ》の変ロ長調の間奏曲にもとづく第13番第2楽章〈アンダンテ〉 は、とりわけ牧歌的です。 とはいえ、疑念や問いに満ちた音楽でもあります。この楽章がもつ暗い一面は、主題の反復 に映し出されています。この反復が新たな色彩や情感を生み出し、やがて鳴りはじめる持 続低音が葬列を連想させます。
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