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50 ベートーヴェン/リスト, 交響曲第9番 録音で用いる楽器の選択には、どのように関わったのですか? セドリック·ペシャ : 確かに、今回のアルバムの“響きのアイデンティティ”に決定的な影響 を与えた要素の一つが楽器です。私たちは、叙情的なパッセージを十分に歌わせるべく、 まろやかな音色と美しい音の持続にとことんこだわってピアノを選びました。さらに、さほど 広くはないテルデックス·スタジオの素晴らしい音響も念頭に置きました。したがって、私た ちがブリリアントな音色よりも、ぬくもりのある音色を特長とする楽器を求めたのは自然の成 り行きでした。こうして私が選んだ2台のピアノは、互いにこの上なく調和するいっぽうで、 それぞれかなり個性的な音色を聞かせます。そしていずれの楽器も、透明感、香り高い音 色、豊かな倍音といった、ベヒシュタインならではの響きの特性を具えています。 メカニックの観点から言えば、私たちは当然ながら、高度に精密なダブル·エスケープメント· アクションを誇る楽器を求めました。

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