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48 ベートーヴェン/リスト, 交響曲第9番 レコーディングまで、どれくらいの期間、この編曲版の準備に励んだのでしょうか? セドリック·ペシャ : 一年という長い時間をかけて準備しました。まず個々の練習を開始 し、その後に2人で何度も合わせました。フィリップがベルリンに来ることもあれば、私がパ リを訪れることもありました。たいていは都度、2日間、一緒に弾きました。毎回、練習の終 わりには、腕も背中も疲労が限界に達し、クタクタでした。私たちは、たっぷりと時間をかけ て、バランス、アーティキュレーション、タッチ、ペダルの問題と向き合いながら、自分たちの 解釈を少しずつ構築していきました。こうして幸運なことに、録音前に、ある程度の回数を 重ねて演奏を調整し、“熟させる”ことができたのです。それは曲への理解を深める貴重な 機会となりました。そのうえ、私たちの第9番への取り組みは録音とともに終わるわけではあ りません。 なぜなら今後、一連のコンサートで、この編曲版を演奏することになっているか らです。ここ数年のあいだ私が関わったさまざまな――フィリップや他のアーティストたちと の――室内楽プロジェクトの中でも、ベートーヴェン/リストの“第九”は、私がもっとも多く の時間とエネルギーと情熱を注ぐことになった作品です。
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