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46 ベートーヴェン/リスト, 交響曲第9番 オーケストラによるベートーヴェンの交響曲の演奏については、フルトヴェングラーから ガーディナーまで、おびただしい数のアプローチが存在します。今回、何らかの美学や解 釈から影響を受けたのでしょうか? フィリップ·カサール : セドリックと私は、“古典”とされている一連の演奏に関して一通りの 知識はありますが、今回はとりわけフルトヴェングラーとアーノンクールのアプローチについ て語り合いました。また私たちは、オーケストラ·スコアをつねに手元に置き、リストが個々の 問題をどのように解決し、何を省くことにしたのか、そして彼が、どの細部を優先して際立た せたのかを、つぶさに確認しました。 セドリック·ペシャ : 先に名が挙がった指揮者たちとは全く異なる方向性を示したのが、マ リス·ヤンソンスです。私たちは彼の演奏を聴き、叙情性と、ある種の古典美に心を打たれま した。それは、作品の現代性を前面に押し出すガーディナーやアーノンクールの決然たる 急進主義とは大きく異なるアプローチです。フィリップと私は、自分たちがより革新的な解 釈へ向かいたいのか、より古典的な解釈を目指したいのか、しばしば自問しました。時折 り、きっぱり決断できないこともありました。最終的に私たちは、第9番をあるがままに丸ごと 受けとめ、自分たちの心が感じるままに演奏しました。

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