LDV73
44 グラナドス_ゴイェスカス まばゆい光を放つ《イベリア》と、ほの暗く、極めて“情緒的”な《ゴイェスカス》 の世界の違いを、どのように捉えていますか?前者はより“オープン”で、大胆 な活力に満ちていますが、後者はむしろ、秘められ、閉じられているような印 象を与えます。もともと外的なものから霊感を得て作曲されたのは、《ゴイェス カス》であるにもかかわらず…… 《イベリア》を照らす灼熱の陽光は、《ゴイェスカス》において、曲の“筋書き”が示唆する表 情豊かなベールによって和らげられています。グラナドスは、物語の登場人物たちの感情 に導かれて筆を進めており、彼らとともに——しばしば親密な——会話を繰り広げています。 その複雑に交錯する書法の中には、多くの意図が隠されています。しばしば半音階主義 的な処理がなされている和音進行、混ざり合う音色の豊饒な錯綜の中に潜む主題的モチ ーフ……これらの表現はいずれも、グラナドスが自身の構想を雄弁な音楽言語に託そうと 模索した微かな形跡です。
RkJQdWJsaXNoZXIy OTAwOTQx