LDV73
42 グラナドス_ゴイェスカス 《ゴイェスカス》は、ライトモチーフのように幾度も回帰するテーマによって統 一されており、多様な——ときに悲痛な——感情に満ちています。ピアニスト たちは、ロマン主義——とりわけショパン——からの根深い影響を演奏に反 映させながら、この特異で壮大な“音楽的小説”の世界に身を浸す際に、画家 となって感情を描き出すのでしょうか? 状況を整理してみましょう。インスピレーションの源を提供したのがゴヤであり、グラナドス は作曲家として、その影響を受けています。さらにグラナドスはピアニストとして、自作を演 奏してもいます……。したがって、私たち演奏者は:“《ゴイェスカス》に見出される限りなく 豊かな色彩のパレット——とは言わないまでも、この傑作を——音にして聴き手に届けるた めに、自分自身はどのような立ち位置を取ることができるのか?”と自問すべきでしょう。そ うすれば、作品全体を支配しているのは彩色なのだということを明確にした上で、振り出し に戻れます。色彩は、大元の筋書き(“恋する若者たち”)から霊感を得ながら、広がり、混 ざり合い、種々の感情と一体になります。その場合《ゴイェスカス》の演奏は、音色を介す ことによって、この音楽が放つ即興の精神と結ばれるのです。
RkJQdWJsaXNoZXIy OTAwOTQx