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40 グラナドス_ゴイェスカス 《ゴイェスカス》のピアノ書法の様式的な特徴を挙げていただけますか?それ は演奏者に、どのような困難をもたらすのでしょうか?ときに“語って”いるよ うな印象を与える《ゴイェスカス》で極めて重要な位置を占めているのは、多 様な装飾音と多くの演奏指示です。この曲集の気まぐれでヴィルトゥオジック な側面、いわば狂詩曲的な側面を制御するには、何か特別なテクニックが必 要とされるのでしょうか? ピアニストでもあったグラナドスは、驚異の超絶技巧を誇りました。ピアノ・ロールに残され た幾つかの貴重な録音は、彼の限りなく自由で俊敏な演奏を私たちに伝えてくれます。《 ゴイェスカス》に特有のテクニックは、ピアニストに桁外れの演奏能力を要求します。第一 に、鍵盤全体を掌握する類まれな柔軟性。そして、特に左手の敏捷な動き。さらには、密 で複雑な和音を意のままに操る能力など……。いずれにせよ私たちが挑まなければなら ないのは、雄弁な感情に絶えず翻弄されている非理性的な書法です。そこでは種々の技 術的なハードルが、私たちを待ち構えています。 グラナドス本人による《ゴイェスカス》の演奏に耳を傾けるとき、私は必然的に与えられる“ 二重の視点”に感銘を受けます。なぜなら私は、多様な色彩と高次元の霊感に富んだ作 品それ自体だけでなく、グラナドスによる“自作の自演”にも意識を向けることになるから です。作品を生み落としたグラナドスは、まるで作曲し直しているかのように、あえて言うな ら“描き直して”いるかのように、演奏しています!彼は曲集の狂詩曲的な性格を大いに 強化しながら、限界を押し広げ、自由な道の無限の広がりを私たちに示しています。
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