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ジャン=フィリップ・コラール 39 グラナドスと同じように、貴方もゴヤに惹かれていますか?貴方は《ゴイェスカ ス》の演奏に際して、ゴヤの絵画や18世紀スペインのギャラントリー(上流階 級の優雅な恋の駆け引き)の世界に身を浸し、霊感を求めたのでしょうか? 私は、ゴヤの作品を眺めながらグラナドスの着想の謎に迫ろうとしたことは一度もありませ ん。《ゴイェスカス》の書法の中に見え隠れするゴヤの絵画の影は、あくまでもグラナドスの 私的な世界に属すものです。それらの音への“翻訳”は、想像を通じた個人的な行為であ って、楽曲分析の対象にする必要はないというのが私の持論です。私には、そのような客 観性が、この曲集のアプローチや音楽的な勢いや書法の自発性に“重み”を持たせうるよ うに思えます。その結果もたらされる規律は、横溢する音の骨組みを強化し、強調するは ずです。 一方で現在の私は、グラナドスの音楽を介してゴヤの絵画を眺めることに、何の躊躇もあり ません。
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