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40 オッフェンバック 二重奏曲の構造を、形式的な観点からご説明いただけますか? グザヴィエ・フィリップ : いずれも、極めて伝統的な3楽章構成です。中庸もしくは適 度に速いテンポを取る第1楽章の後に、緩徐楽章と、勢いの激しい第3楽章が続きます。 オッフェンバックが一貫して用いたシンプルな3楽章構成は、音楽的な深みを軽減しては いません。しばしば胸を打つ中間楽章に、とりわけ奥深い表現が散見されます。オッフェン バックは自然に歌い、数々の判断を奏者たちに委ねてきます。多くの表現は反復されるた め、それらを“飾り立てる”必要もあります。私はその点を大いに気に入っています。沢山の 可能性をはらんだ広大な野原を前にして、私たち奏者は、何かを選択しなければなりませ ん。いうなればオッフェンバックの音楽の鍵を握っているのは、彼が奏者たちと築こうとする 親密な協力関係や、彼が奏者たちに寄せている信頼なのです。

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