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38 オッフェンバック オッフェンバックは“チェロ界のフランツ・リスト”と称されました。リストがピア ノの分野でそうしたように、オッフェンバックもまた、チェロの書法に斬新な表 現をもたらしたのでしょうか? アンヌ·ガスティネル : オッフェンバックのチェロ作品に、技術的な革新性は見出されま せん。ただし彼は、この楽器の可能性を極限まで追求しています。 グザヴィエ・フィリップ : 文字通り、極限まで!いずれにせよ、オッフェンバックのチェ ロ作品には“コダーイ的な”アプローチは一切みられません。私たちチェロ奏者は、コダー イのソナタを弾きながら、作品にあらわれる全ての表現が“どこからやって来たのか”、自問 します。これは、デュティユーが独奏チェロのために書いた《ストローフ》にも当てはまりま す。デュティユーがコダーイを手本としたことを鑑みれば、それは当然のことです。オッフェ ンバックのチェロ音楽は、より普遍的な様式の範囲内に留まっています。その一方で、演奏 技術的な難易度が凄まじく高いのです!オッフェンバック自身が、チェロの名手中の名手 であったか、ペテン師のようにごまかして弾いていたとしか思えません……(笑)もしかする と、彼は名手でもあり、ペテン師でもあったのかもしれませんよ。ごまかして弾く際にも、ふ んだんな才能が求められますからね!
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