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47 オリヴィエ・ラトリー ノートルダム大聖堂のオルガンでバッハ作品を弾く私は、スウェルボックスの使用や“倍音フ ルート”のような特殊なストップの配合を控えるべきでしょうか?作曲当時にはそれらが存在 していなかったという理由で……?しかし、リストが《パッサカリアとフーガ》をロマンティッ ク・オルガンのために編曲した際に、オルガン製作家のヨハン・ゴットロープ・テプファー(原 注4)と協力して考案したレジストレーション(ストップ配合法)を思い出せば、その答えはお のずと導き出されます。もう一つの例を挙げておきましょう。《汝のうちに喜びあり》でペダル に託されているテーマの一つは、鐘の音を想起させます。そのため私は、ノートルダム大聖堂 のオルガンの鐘のストップを使用しました。 オルガン演奏で音色を締め出すことは、ピアニストがバッハ作品を演奏する場合に、チェン バロのタッチと音色を真似するために一切のペダルの使用を拒むのと同じ位にナンセンスで す。バッハの音楽をモダン・ピアノで演奏する行為それ自体がすでに、ある種の編曲ですし、そ うであれば1868年製のカヴァイエ=コル・オルガンによる演奏も、条件は同じはずです。

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