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オリヴィエ・ラトリー 39 結局のところあなたは、あなた自身の“真正性”の概念にもとづいて演奏をしているので すね…… 演奏家はみな、同時代に存在する楽器を用いて演奏します。私が現在ノートルダム大聖 堂であてがわれているオルガンは比類のない名器です。演奏家は、過去と闘うことはでき ませんし、闘うべきでもありません。むしろ過去をみずからに同化させ、過去からよりふんだ んなインスピレーションを得ることで、各自が独自の道を見出さなければならないのです。 ですから“真正”ではなく、より控えめに“誠実”という言葉を使うべきなのかもしれないです ね。 [原注1] ジャック・ルクレール神父には『Le jour de l’Homme(人類の日)』(Seuil, 1998) と『Debout sur le soleil(太陽に 立つ)』(Seuil, 1980)の二作の著書がある。現代作曲家ジャン=ルイ・フロランツは後者にちなんで自作のオルガン曲(作 品8)を命名した。 [原注2] レオポルド・ストコフスキー(1882-1977)は教会オルガニスト・指揮者としてそのキャリアをスタートさせた。主にバ ッハのオルガン曲を精力的に管弦楽用に編曲したことでも知られる。彼は1934年から1972年にかけて、BWV565を幾度 か録音した。 [原注3] 壮大な《幻想曲とフーガ ト短調 BWV542》は、これまで幾多の編曲作品を生んだ。ピアノ用としてはリストのほかシ プリアン・カツァリスの編曲も優れている。ストコフスキーやディミトリ・ミトロプーロスは管弦楽用編曲を手がけた。 [原注4] オルガニスト・作曲家・オルガン製作家のヨハン・ゴットロープ・テプファー(1791-1870)はワイマール時代のリスト と親しくし、彼の楽器観に深い影響を与えた。
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