LDV61

26 ブラームス _ ピアノ五重奏曲 ヘ短調 作品34 / 8つのピアノ小品 作品76 ブラームスが残した室内楽曲のカタログを構成する24作品は、《弦楽六重奏曲第1番 作品 16》(1861)から《クラリネットとピアノのためのソナタ 作品120》(1895)まで、30年以上ものス パンの中で、一曲一曲、世に出されていった。そしてその大半の編成に、ピアノが含まれて いる。ピアノは、ブラームスが作曲家として何よりも重きを置いた楽器であり、彼はしばしば オーケストラ作品を作曲する際にも、鍵盤が差し出す88個の音を頼りに諸声部を複雑に絡 み合わせていった。そしてピアノは彼の想像力をかきたて、多ジャンルのあいだを自由に 行き来しながら、独奏曲、室内楽曲、協奏曲、交響曲を誕生させていった。じっさい、ベー トーヴェンの場合とまったく同じように、ブラームスもまた、複数の作品を同時に書き進める ことによって、大胆でありながら古典的な書法にも依拠する発想を育んでいった。

RkJQdWJsaXNoZXIy NjI2ODEz