78 ベートーヴェン | 弦楽四重奏曲(全曲) 4人の奏者たちは、これ以上なく繊細に、響きを超えたところに在るものへの希求 に似た沈黙へと、私たちを連れていく。ベートーヴェンは、この“起源への遡行”に 取り憑かれた。彼は1824年、ロンドンから訪ねてきたハープ製作者シュトゥンプフ に、こう伝えている:「心を揺り動かすものは天から降りてこなくてはならない。さも なくばそれらは、魂の抜けた身体のような、ただの音符にすぎない、そうでしょう?」 イザイ四重奏団が私たちに差し出すのは、ベートーヴェンの人生を追う旅である。 ウィーンで音楽家として名を揚げたベートーヴェンは、やがて難聴に襲われた。い うまでもなく、それは音楽家にとって致命的な病だった。この難聴は、鉛を含んだ ハンガリーの安ワインを定期的に飲んでいたことに起因すると考えられている。彼 は、降参し、諦め、死ぬべきだったのか?——そのようなあらゆる問いを投げかける 彼の音楽を通じて、イザイ四重奏団は同じ問いを私たちに投げかける。
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