第13番の第2楽章〈プレスト〉は、極限のテンポを取る。多くの繰り返しが、この猛 烈な旋回を、もっぱらばねのように引き伸ばす。第1ヴァイオリンの蓄積されたエネ ルギーのうねりを、伴奏を担う三つの楽器の波浪がひたすら煽る。激しく揺り動か され、増幅された第1ヴァイオリンは、ついにはその表現を見失ったような印象を 与える。しかしながら、速さも、テンポも、ベートーヴェンが指示しているレベルにま で強弱表現を戻すように強いる自制心も、決して煽られていない。その結果、第2ヴ ァイオリンの意外なピッツィカート群(曲尾から10小節前の第96小節)が整合性 を得る。それらは、抑えがたい衝動にブレーキをかけて手なずける必要性を強調し ているのだ。 イザイ四重奏団は、この上ない感受性と高揚と一貫した嗜好の間を行き来する〈 アンダンテ〉において、「センプレ・ピアニッシモ[つねに弱音で]」の指示に非常な 注意を払い続ける——この溢れ出るエネルギーを鎮め、エピソードの過剰な膨張 を避けようとするかのように。そのねらいは、再び抒情的になり冒頭の響きのテク スチュアに回帰する再現部において、私たちの聴取を一新させ、再び活気づけるこ とにある。 72 ベートーヴェン | 弦楽四重奏曲(全曲)
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