まさに私は、この深遠なる編成の中で毎日を生きた。そう! 私は私の日常を、4 人の一人として過ごした。誰かが自分を丸々一人の人間として扱うとき、ほんとう は“4分の1の声”と向き合っているのだという愉快な考えが、頭に浮かぶこともあっ た。 四つの声をもちながら、うたう歌はただ一つ。 複数の特性と、一つの特性。 そこに至るために、どれほど多くの休符が音符の間に滑り込み、どれほど多くのテ ンポが消え去り、どれほど多くのアクセントが消されたのだろう! 反抗的な者たちは激昂を制御するすべを学び、おっとりした者たちは歩調を速め るすべを学び、きらびやかな者たちは装飾を取り払うすべを学んだ。 アンサンブルの中に溶け込むためには、“特性のない音楽家”になることを自らに強 いる必要があった。 ミゲル·ダ·シルヴァ 59 イザイ弦楽四重奏団
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