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46 プロコフィエフ | カウエル どういうことでしょうか? まずはプロコフィエフについてお話しします。彼は自作のバレエ《シンデレラ》を基に、3つ のピアノ組曲と、3つの管弦楽組曲を書いています。ピアノ組曲はそれぞれ、原曲のバレ エから数曲を選んで編まれていますが、原曲の曲順、つまり物語の流れには沿っていませ ん。3つのピアノ組曲は、それぞれ時間を置いて、演奏会用の華やかな組曲として作られた からです。今回のアルバムでは、シンデレラの物語の進展を辿ることを優先し、曲順を自由 に変えました。ただし、このような曲順の改変は、プロコフィエフ自身の許容範囲内だろうと 私は考えています。なぜなら彼は、指揮者たちがバレエ《シンデレラ》や《ロメオとジュリエッ ト》の管弦楽組曲を自由に構成して演奏することを許していたからです。従って、私が今回 のアルバムで提示したピアノ組曲《シンデレラ》の曲順は、筋が通っており、なおかつ“聴き やすい”ものであると自負しています。 ピアノで紡ぐシンデレラの物語の合間に、カウエルの4つのピアノ曲を周期的に挿入したの は、プログラム全体にリズムを与えるためです。4曲それぞれに、ある情景から次の情景へ の移行を暗示させています。例えば《エオリアン・ハープ》では、仙女のお婆さん(=物乞 い)の出現を表してみました。《バンシー》で鳴らされる3つの音は、真夜中の12時を告げる 鐘の音と共鳴し、《マノノーンの潮流》は城への到着に呼応します。そして《妖精の鐘》は、 シンデレラの物語のエピローグに寄り添います。

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