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ヴァネッサ・ワーグナー 35 2つのジャンルを体現するリストとペルトを組み合わせた今回のプログラム は、新たな聴衆の開拓を促すと思われますか? 私は、多様な聴衆に働きかけ、彼らを隔てる“壁”を取り外したいと常に願っています。電子 音楽のミュージシャンたちと共演を重ねているのも、まさにそのためです。また、異質なジャ ンルが交差する音楽祭や、子ども・弱者を対象とする公演、クラシック音楽とは無縁の場所 でも、積極的に演奏するようにしています。映像やダンスとのコラボレーションにも力を入れ ています。ただし、こう断言させてください——そうした活動は全て、“マーケティング戦略” とは一線を画しています!それが私の基本方針です。普段からよく申し上げているのです が、私が追求しているのは “自分らしい”キャリアです。さまざまな方向性の開拓は、私の音 楽家としての生き方に真の意義をもたらしてくれます。 私は根っからの好奇心の塊で、関 心の的が多岐にわたっています。そのため私の場合には、誰かが作った道をなぞるよりも、 自らの音楽人生を開拓していくほうが有意であると、早々に気づきました。自分の性に合っ た活動ができるよう努め、今歩んでいる“道”をさらに発展させていきたいと願っています。 その“旅”の次なるステップは何でしょうか? 実は先日、ポスト・ミニマル・ミュージックに焦点を当てたアルバムを録音し終えたところで す。一方で今後も、歴史的なピアノを演奏し、室内楽にも定期的に取り組んでいきます。ダ ンサーたち、電子音楽のミュージシャンたち、東洋の音楽家たちとの新しい共同プロジェク トの立ち上げにも携わる予定です。もちろん、ピアノ独奏のために書かれた優れたレパート リーの探求も続けていきたいと願っています。
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