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32 リスト // ペルト リストとペルトを“繋いだ”意図をお聞かせください。 今回の録音プログラムは、音楽学的な論拠に基づいているわけではありません。その背後 で“コンセプト”の実現をねらっているわけでもありません。リストの豊穣な書法と、ごく限られ た手段を用いるペルトの書法のあいだには、もちろん大きな隔たりがあります。それでも私 には、この2人の絆は自明です——時代や表現方法を超越する、ある種のスピリチュアリティ と通じている芸術家たちであるという意味で。ペルトはミニマル・ミュージックを発展させた最 も偉大な作曲家の一人です。彼の代表作であるピアノ曲《アリーナのために》は、演奏する たびに私の心を奮い起こします。ペルトは私生活においても作曲家としても、強烈な宗教 的感情と対峙しています。僧籍に入るほど信仰心が篤かったリストの音楽にも同様に、超 越性と通底する熱烈さを大いに感じるのです。 今回、もともとオルガンのために書かれたペルトの作品も選曲なさっていま す…… 《アリーナのために》以外のペルトのピアノ作品が、《詩的で宗教的な調べ》に合うとは思え ませんでした。あえて2曲のオルガン作品を選んだのはそのためです。すでにオルガン自 体が極めて宗教的な楽器ですし、その音色は《詩的で宗教的な調べ》の中にも見出されま す。峻厳で熱烈な2つのオルガン曲は、ピアノでも非常に美しく響きます。

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