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ヴァネッサ・ワーグナー 29 貴方のレパートリーは、ラモーからシューベルト、スクリャービンを経てデュサ パンまで多岐にわたります。リストとペルトを取り上げる今回のアルバムは、貴 方の“ボーダーレス”なディスコグラフィの中でどのように位置づけられるので しょうか? このアルバムは、La Dolce Volta レーベルと私の2度目のコラボレーションから生まれまし た。思い返せば、すでに1度目のコラボレーションも二元的な特徴を帯びています。モーツ ァルトとクレメンティに同時に焦点を当て、彼らの作品を歴史的なピアノ(訳注:1814年製) とモダン・ピアノで録音したからです。私は2つの楽器の“弾き分け”を、コンサートでも積極 的に行っています。これまでも常に私は、開かれた広いレパートリーを手にできるよう心が けてきました。それは私にとって、自らを一新させながら前進し、一音楽家として成熟できる ことを意味します。今日までに約15枚のアルバムを録音していますが、そのジャンルは実に さまざまです。今回のレコーディングに際して、《詩的で宗教的な調べ》の全曲演奏に挑み たいとは思いませんでした。すでに多くの全曲録音が存在するからです。そのような中で思 いついたのが、フランツ・リストとアルヴォ・ペルトを繋ぐというアイデアでした。2人は、時代と 作曲様式を異にする作曲家たちですが、本質的にごくスピリチュアルであるという点で、近 い関係にあると思います。
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