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46 ラフマニノフ // ムソルグスキー ムソルグスキーの《展覧会の絵》は“超難曲”として知られています。この作品に 惹かれる理由をお聞かせください。 《展覧会の絵》は極めて独創的な作品です。とある展覧会への訪問というテーマが貫か れ、幾つかの性格的小品のあいだに数度〈プロムナード〉が挟まれるという構成は、ピアノ 曲集として他に類を見ない独特なものです。しかしこの作品の大きな成功は、やはりラヴェ ル抜きには語れません。実際、ラヴェルによる管弦楽版が最もしばしば——ピアノ独奏用の 原曲よりもいっそう頻繁に——演奏されています。ラヴェルが途方もない偉業を成し遂げた ことは、誰もが認めるところでしょう。彼のオーケストレーションは、言うなれば白黒の世界に 鮮やかな色彩をもたらしています。私の頭の中では常に、ラヴェルの管弦楽版が響いてい ますし、他ならぬラヴェルが、演奏中の私の指を光で照らしてくれます。とはいえ、《展覧会 の絵》を編曲したのは彼だけではありません。その点こそ、この作品の歴史が見せる驚くべ き側面です。さまざまな指揮者たち、作曲家たち、演奏家たちが、おのおの独自の解釈、 独自の編曲によって、この作品に対峙してきたのですから。ただし私の場合は、原曲の一 音たりとも、そしていかなる強弱記号も、変えようと思ったことはありません!一方で私は、 この作品自体が招いている編曲や改訂への欲求に、魅了されてもいます。ムソルグスキー は、ある展覧会を歩いて周りながら芸術的な衝撃を受け、その体験をもとに《展覧会の絵》 を作曲しました。まさにこの普遍的な感情が、多くのひとびとに、《展覧会の絵》を書き換え てみたいという欲求を植え付けてきたのだと思います!

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