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どのように録音を進めたのでしょうか? レコーディングはオックスフォードで行われました。私にとって、ジェームズ・ウィズボーン (芸術監督)とアンディ・ローズ(録音技師)との再会は大きな喜びでした。というのも私は 以前に、この名コンビのサポートで、ブラームスの第 2 番の協奏曲を、コリン・ディヴィス指 揮ロンドン交響楽団との共演で収録したことがあるのです( Opus Arte からリリースされた DVD )。さらに二人は、私がサイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と 共演した DVD 『ファリャ:スペインの庭の夜』( Euro Arts )に同時収録された「リサイタル」 でも手腕をふるってくれました。今回のレコーディングは 2 日間の予定でしたが、初日に 《前奏曲 作品 28 》をすべて録音してしまいました。私には、自分が理想とする演奏録音 に関して、きわめて鮮明なイメージがありました。そのため、まずは全体を一気に録音 し、その後に細部を調整していきました。 今回のディスクには、作品28に加えて、作品45と、短い変イ長調の遺作が含まれてい ます。つまり、ショパンの前奏曲の全曲録音が実現したわけですが…… 嬰ハ短調の作品 45 を省くことは考えられませんでした。暗澹とした雰囲気に包まれた傑 作です。幾つもの波が訪れ、意表を突く転調が展開されていきます。終盤で曲を中断さ せる驚くべきカデンツァは、神秘的です。もちろん、変イ長調の遺作も必ずやディスクに 収めたいと思いました。その音楽は、極めて美しい微笑みにたとえられます。 36 ショパン: 24 の前奏曲、幻想即興曲、夜想曲、舟歌

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