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48 ブロッホ | エルガー 《シェロモ》は、ブロッホの 1912 年(《イスラエル交響曲》)から 1923 年(《バール・シェム》《ユダ ヤ人の生活から》)までの作品群、通称“ユダヤ・ツィクルス”の中核を成す作品である。ブ ロッホは、 1915 年 12 月に《シェロモ》に着手し、たった 2 か月でこの曲を書き上げた。彼を突き 動かした創造への熱意は、ソロ・パートの切迫感や、これに“合いの手”を入れるオーケスト ラの急激なクレシェンドの中に見て取れる。作曲のきっかけは、ブロッホがアレクサンドル・ バルヤンスキーのチェロの音色に魅せられたことだった。実際、この狂詩曲はバルヤンスキ ーのために構想され、彼に献呈されている。しかし、ブロッホが《シェロモ》を自ら指揮した のは1度だけ( 1933 年 1 月 22 日、ローマのアウグステオ劇場にて)だった。おまけにそれは、 ハンス・キンドラー(フィラデルフィア管弦楽団・首席チェロ奏者)とアルトゥール・ボダンツキ ー指揮ニューヨーク・フィルハーモニックによる初演( 1917 年 5 月 3 日)から 16 年も後の出来事 である。ちなみにこの 1917 年の公演を主催したのは、ニューヨーク楽友協会の代表ハリエッ ト・ラニアーである。ブロッホの“ユダヤ・ツィクルス”のみを取り上げた音楽史上重要な公演 で、この時《イスラエル交響曲》も初演されている。
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