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ゲイリー・ホフマン | ベルギー王立リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団 | クリスティアン・アルミンク 47 《シェロモ》の結末について、作曲者エルネスト・ブロッホはこ う述べている。“これまでに私が書いた作品は全て、どんなに暗 い内容であっても希望を残して終わっていた。その唯一の例外 が、完全な否定と共に幕を閉じる《シェロモ》である。しかしそ れを強いたのは、作品のテーマと時代背景なのだ!”第1次世 界大戦(1914-1918)のさなかに書かれたヘブライ狂詩曲《 シェロモ》の思想的な主旨は、シェロモ(ソロモン王)の有名な 箴言——“空(から)の空、いっさいは空である”——にそのまま 要約されうる。つまり、聖書のエピソードにまつわるこの音楽 は、20世紀史の悲劇にも通じている。そこには、大量殺人が繰り 広げられる荒廃したヨーロッパを脱出し、亡命者としてアメリカ に身を寄せていたブロッホの辛い境遇が映し出されているよう に見える。

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