45 ラファエル・ジュアン | メス・グラン・テスト国立管弦楽団 | デイヴィッド·レイランド あなたは10年以上、ピアノ三重奏団「トリオ·エリオス」のメンバーでもあられます。室内楽 奏者とソリストの素質が同時に求められるこの特殊な編成での活動は、あなたの協奏曲 のジャンルへのアプローチに、どのように作用したのでしょうか? 確かにピアノ·トリオは、グループとしても個人としても表現することができる理想的な編成で す。ですから室内楽は、協奏曲への素晴らしい道をひらいてくれる分野と言えます。とはいえ 実を言うと私は、少人数で合奏するさいにも、オーケストラと共演するさいにも、つねに室内 楽を奏でているような心持ちになります。私はバッハの無伴奏チェロ組曲の演奏時でさえ、 種々の音楽的な“線”によって“対話”を紡ごうとしています。私の演奏アプローチにおいて、 この“交流/コミュニケーション”の感覚は何にもまして重要です。この“室内楽的な耳”を私 に授けてくださったのが、はじめに師事したジャン·アドルフ先生(メス音楽院)とグザヴィエ· ガニュパン先生(ブローニュ·ビヤンクール音楽院)です。お二人は私が師事しはじめた頃か ら、小さなアンサンブルで演奏するよう勧めてくださり、“室内楽的な耳”と分かち合いの精神 を育むよう後押ししてくれました。まさにそのような経験が、オーケストラとの初録音にのぞ む私を鼓舞しました。さらに今回、ソリストと楽団員たちの万全なインタラクション(相互作 用)を目指しました——レコーディングでは、私がコンサートのようにオーケストラに背を向 けて演奏するのではなく、オーケストラと向かい合って演奏したのです。それにより、双方が いっそう密にコミュニケーションを取ることができました!
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