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42 ドヴォルザーク | チェロ協奏曲 この協奏曲は、非常に高度な演奏テクニックを要することで知られています。ソリストは具 体的に、どのような課題に直面するのでしょうか? チェロ奏者にとってエベレスト登頂にも匹敵する難曲です。ソロ·パートは、この楽器に最適 な書法で書かれてはいますが、演奏の難易度が極めて高く、多大な準備を要します。楽譜に は技術的に高度なパッセージが潜んでおり、特にダブル·ストップは、あらゆるチェロ奏者に とって難所です! またオーケストラの編成が大きいため、バランスを取ろうとしても一筋 縄ではいかず、ソリストには殊のほか豊かな響きが求められます。ただし本盤の録音では、繊 細な表現も追求することができました。それは、ホールの最後列にまで音を届けることが必 要不可欠なコンサートとは異なるアプローチです。今回は複数の録音マイクのおかげで、き め細やかな演奏を目指し、新たな色彩を探求することができました。同時に、この作品がも つ別の重要な側面、すなわち物語性を掘り下げることもできました。なぜならドヴォルザー クは、種々の息の長いフレーズを通して、私たち奏者に物語を語るよう促しているように感じ られるからです。そのさい、ある種の流動性を優先しつつも、音楽的な“線”の純度を落とさな いようにしなければなりません。今回はレイランド氏と楽団員たちとともに多くのアプローチ を試し、最終的に「フランス風ドヴォルザーク」とでも呼べるようなものに至りました。いずれ にせよ本盤に収められた演奏は、この“超有名曲”に先例のない光を当てうる、一つの芸術的 提案です。

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