ジャン=フィリップ・コラール との対話 本盤でバッハを取り上げた理由をお聞かせください。 ジャン=フィリップ・コラール: 理由は複数あります。約60点のアルバムを 録音し終えたあと、次のプロジェクトの方向性を自問しました。年を重ね た私は、自分が好きなもの、自分の興味を引くもの、目新しいものだけでな く、ある種の総括も包含するようなアルバムを思い描きました。とはいえそ れは、私のキャリアの総括ではなく、ピアノと私の家族・私の青少年期を何 らかのかたちで結び合わせる総括です。そして私は、その最も重要な“共 通分母”がヨハン=セバスティアン・バッハであることに気づきました。若 い頃の私は、とりわけ家族の影響で、受難曲、オラトリオ、ロ短調ミサなど、 バッハの素晴らしい合唱曲を聞く機会に恵まれ、オルガン音楽にも心酔し ました。その経験は、今も私の心のなかに深く根を下ろしています。
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