49 ベアトリス·べリュ 《火の鳥》も《魔法使いの弟子》も《死の舞踏》も、明快な内容の詩や台本に基づいていま す。演奏中の貴方は、頭の中で筋書きを追っているのでしょうか? 至極当然ながら、筋書きを意識しています。しかもデュカの場合、ゲーテの原詩を忠実かつ イメージ豊かに音楽で再現していますからね。映画『ファンタジア』に背を向けることも不可 能です! 《魔法使いの弟子》を演奏するとき、私の眼前には、あのアニメーションの光景が 広がります——特に、箒(ほうき)がどんどん増えていき制御不能になる、あの見事な場面 を! 私の音による“語り”が、これら諸々のイメージによってインスパイアされることは避け られません。 私たちを恐ろしい世界へと連れていく、悪魔的なヴィルトゥオジティを湛えた曲には、どの ようにアプローチしていますか? ヴィルトゥオジティは、言うまでもなく、その困難が克服された瞬間に陶酔をもたらします。 演奏している私自身も、火花やエクトプラズムを生み出せる魔法使いの先生になったような 気分になります! ただし、そのような感覚を得られるようになるまで、何時間も練習しなけ ればなりません!
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