エルメス四重奏団 47 コルンゴルトが米国への亡命の直前に作曲した弦楽四重奏曲第2番も、一つの時代の終 焉を想起させます。彼の音楽言語の特徴は何でしょうか? コルンゴルトの音楽の何よりの魅力の一つは、さまざまなイメージを喚起する力です。彼は、 モーツァルトと同様、ごく若い頃からオペラの分野でこの描写力を発揮しましたし、早熟な 天才ゆえに、しばしばモーツァルトと比較されました。のちにコルンゴルトは、この技量を映 画音楽の分野で活かし、ハリウッドで輝かしいキャリアを築くことになります。私たちは、ピア ノ五重奏曲をきっかけにコルンゴルトの音世界と出会いました。心を揺さぶる“別れの歌”で ある〔ピアノ五重奏曲の〕アダージョ楽章では、息をのむほど奥深い音空間が広がっていま す。私たちは、弦楽四重奏曲第2番の緩徐楽章でも同じような感覚をおぼえます。それは音 程だけでなく、彼が用いている特異な響きのテクスチュアによるものでしょう。たとえば、フラ ジオレットと深い低音の組み合わせは、この楽章の冒頭に目覚ましい広がりをもたらしてい ます。さらにこの曲は、すでに第1楽章から、その物語る力によって私たちの心を魅了します。 叙事詩のさまざまな主役たちの姿が目に浮かんできます。コルンゴルトは、音色のパレットを 見事に操って種々のムードを創り出し、早くも映画的な側面を自らの音楽に与えることがで きたのです。だからこそ、のちのアメリカでの彼の活躍には驚かされません。
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